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水にも“賞味期限”があります
? Water has an "expiration date" ?

By Paula Dreeszen 水質エンジニア

水にも“賞味期限”があります

Paula Dreeszen

Paula Dreeszen

配管内に滞留している水は微生物の発育の温床になっていて、その微生物は最終的に動物の飲水中に入ります。新鮮さを保つために飼料を回転させると同じように、水もその品質を維持するために交換する必要があります。

細菌は滞留していてあまり使われない水の中では急速に増殖します。“理想的な”条件下では、細菌は20分ごとに2倍に増えます。そのような増殖速度では、1つの細菌細胞は12時間後に10億個以上になります!幸いなことに、多くの飲料水はこのような発育に必要な栄養素を含んでいません。しかし、数字を見れば明らかなように、ラック・マニホールドと室内配管を定期的にフラッシングすることが大切です。


定期的フラッシングのベネフィットには以下のようなことがあります。

滞留水の交換
滞留はデッドレッグ(配管端末の水の流れないところ)、あまり使われないおよび全く使われない動物室、流速が非常に遅いラック・マニホールドの中で起きます。マニホールドの中にある水は動物が1日に飲む量に等しいかそれよりも多いのです。細菌数は滞留水の中で増加し、化学品がある種のプラスチック製配管から溶出するおそれがあります。定期的なフラッシングによって滞留水は細菌数が少なく化学品に汚染されていない新鮮な飲水と置換されます。

バイオフィルムの厚さが薄くなります
配管内の細菌はその内面に付着して、そこでバイオフィルム**を形成します。水の流れを速くするだけではそれを完全に取り除くことができません。しかし、フラッシングの剪断力はバイオフィルムの厚さを最小限にしてくれます。バイオフィルムの厚さが薄ければ薄いほど消毒剤の効果が高まります。配管表面まで拡散・到達する距離が短いからです。

新鮮な塩素の導入
自動給水装置への供給水に塩素が含まれているとき(施設における塩素注入あるいは水道水のいずれかにより)、残留塩素濃度はラック・マニホールドのように滞留していたり流れの遅いライン中では消散してしまいます。塩素のような消毒剤がないと細菌が増殖します。定期的なフラッシングによって滞留水が新鮮な塩素含有水と置換されます。動物の飼料を回転させると同じように水を交換することによって衛生状態が良くなり、動物の飲水の品質が高まります。

**バイオフィルムに関する資料はエデストロム・ジャパンへお申し付けください。

Edstrom Industriesにはお客様に最良の給水装置をお届けする任務があります。この任務を続けるために、当社は継続的に水質に関する製品をテストし改良して動物のための飲水を最もクリーンに保つように努力しています。以下の記事は当社のごく最近のテストを要約したものです。

オンライン・ラック・フラッシング・テスト

Edstrom IndustriesのR&D研究所には、飲水バルブとマニホールドの新製品を生きたマウスでテストするために用いるマイクロ・アイソレーター・マウス用ラックがあります。このラックは、動物施設における多くのマイクロ・アイソレーターと同じように、2年以上もの間、滞留/ノー・フラッシング・モードで使われてきました。最近、このラックの運転を毎日のオンライン・フラッシング・モードに切り換え、前後における飲水の細菌学的品質を比較することにしました。結果はまったく劇的なものであり、オンライン・フラッシングによって細菌数を低く抑えることができることがわかりました。

“滞留”モード
140ケージ収容のマイクロ・アイソレータ・マウス用ラックは25カ月間“滞留”モードで運転されてきました。4週間のテスト期間中に、ラックには180匹のマウスを収容しました。ラックを通った水はマウスが飲んだ水の分だけでした。約2000 mLの入ったマニホールドから180匹のマウスが水を飲むとすれば、全部の水が入れ替わるには平均44時間かかります。ラックには水流が速いところはありませんでした。

供給水と配管
このラックへの供給水にはEdstrom IndustriesのCentral Proportionerによって塩素を10-15 mg/Lに添加し、pHをpH 4-5に調整しました。Proportionerからラックへの“配管”はテスト実験室に独自のものであって実際の動物施設に一般的に見られるものではありませんでした。配管はProportionerと減圧装置の間は3.6 mの1/2”ODポリプロピレン・パイプ、減圧装置とラック・マニホールドの間は5.5 mの1/4”IDポリウレタン製コイル・チューブで連結しました。

サンプル採取
ラックからの水を“滞留”モード運転中の4週間は毎週サンプリングしました。採取した水の総細菌数と塩素濃度を測定しました。

結果
Proportionerの加圧貯蔵タンク中の塩素濃度の測定値は4週のテスト期間中、11-14 mg/Lでしたが、ほとんど停滞しているマニホールド中では0 mg/Lまで減っていました。マニホールドから採取した水サンプル中の細菌数は9,000-19,000 cfu/mL(平均15,000 cfu/mL)でした。

オンライン・ラック・フラッシング・モード

オンライン・ラック・フラッシングを1999年8月中旬に開始しました。その目的は供給水、配管およびフラッシング運転を実際の動物施設と同じようにして細菌数が実際にどうなるかを見ることでした。

供給水と配管
供給水は塩素添加の逆浸透(RO)純水に変更しました。この水処理の結果、いくつかの動物施設で細菌数が非常に少なくなったことが報告されています(”Microbiological Survey Results” UPDATE newsletter, September 1996, Edstrom Industries.参照)。RO水貯蔵タンク中の全水量は平均して24時間以内に入れ替わりました。配管は38 mの1-1/4”および1”のPVCパイプ、3 mの7/8” CPVCパイプ、43 mの3/4”ステンレススチール製Clean-Joint分配主管、減圧装置、および30 mの1/2”ステンレススチール製Clean-Joint RDSパイプから構成されています。

オンライン・ラック・マニホールドのフラッシング
オンライン・ラック・マニホールドのフラッシングは自動運転であり、ラック中の滞留している飲水を除去します。フラッシングは高水圧への移行とラック・マニホールドの排水口の電磁弁を開放することによって開始されます。高水圧は流速を増加させ、パイプ内面に付着しているバイオフィルムを少なくします。新鮮な塩素含有水が定期的にラックに送り込まれて、連続的に消毒が行われます。フラッシングは1日あたり2フラッシング(正午と真夜中)、各5分のフラッシング持続時間でプログラムしました。

塩素添加
このラックは2年以上にわたり水がほとんど滞留状態になっていたので、最初の日にマニホールドと配管を17-20 mg/L濃度に塩素を添加した水で15分間2回(正午と真夜中)フラッシングして消毒しました。その後の塩素濃度は最初は5 mg/Lにセットしました。細菌数が“ゼロ”になったことが確認されたので、テスト期間中は塩素濃度を4 mg/Lに下げ、その後さらに2 mg/Lにまで下げました。

サンプル採取
ラック・マニホールドからの水を“毎日午前10時と正午の間にサンプリングしました。正午のフラッシングの2時間前以内(最後のフラッシングから10-12時間後)にサンプリングすることによって、細菌数が最高になると思われる“最悪の場合”を知ることができました。採取した水の総細菌数と塩素濃度を測定しました。

結果
マニホールド中の塩素濃度は、RO貯蔵タンク中と同じかやや低い程度でした。たとえば、塩素濃度がRO貯蔵タンク中で2.0-2.1 mg/Lのときは、最後のフラッシング11時間後のラック・マニホールド中の測定値は1.6-2.0 mg/Lでした。このことはフラッシングサイクルの間における塩素の消失が非常に少ないことを意味しています。ほとんどの細菌数は最低測定可能数のmLあたり1 cfu(コロニー形成単位)以下でした。テストが進むにつれて塩素濃度を下げましたが、細菌数はほとんど“ゼロ”(1 cfu/mL以下)でした。

要約
オンライン・ラック・フラッシングによってマイクロアイソレーター・ラック・マニホールド中の水の細菌学的品質が劇的に改善されました。ラック・フラッシングを実施する前は、マニホールド中の細菌数は平均15,000 cfu/mLでした。わずか2 ppmの塩素しか含まないRO水で1日2回のフラッシングに変更後は、採取した水の86%において細菌数が1 cfu/mL以下になりました。1日2回のフラッシング回数は、ラック中の残留塩素濃度を持続させるのに十分でした。

水のサンプリングと細菌数測定方法

オンライン・ラック・フラッシング・テスト期間中、以下の方法を用いました。

サンプル採集
ラック・マニホールドのドレーン・バルブを開き、200-300 mLの水をバルブからバケツに洗い流します。次に、流速を変えずに100 mLの水を採集します。水は塩素を含んでいるので、サンプルをThio-BagRに採集しました。これは塩素を中和するためのチオ硫酸ソーダ錠剤を入れた滅菌済みディスポーザブル・バッグです。

細菌数の測定
従属栄養細菌数(HPC)、以前の一般細菌数、測定法を用いて水中に存在し特定の培養時間および温度条件下で発育できる生きた従属栄養菌の数を測定しました。以下の一般的な方法を用いました。細菌数の多い“滞留”モードのテスト期間中は、平板培養する前に1:1000希釈を行いました。

手順

  1. Plate Count Agar(トリプトン・グルコース・酵母寒天)を注入しておいたプレートを使用する約1時間前に冷蔵庫から取り出して室温にまで温めます。
  2. サンプル・バッグを逆さまにするか振って混合します。滅菌ディスポーザブル・ピペットを用いて、1.0-mLの水を採取します。プレートのカバーの端を少し開けて寒天の表面にピペットの中味を注ぎます。傾けながらサンプルを展開させます。
  3. プレートを卓上に30分間あるいはすべての水が寒天に染み込むまで放置します。
  4. プレートを逆さにして、35-37℃で培養します。
  5. 46-50時間後にコロニーを数えます。希釈ファクターを乗じて結果をcfu/mLで報告します

注意事項

  • 減圧装置のフィルターカートリッジを30日ごとに交換してください。交換しないと水の流れが遅くなるおそれがあります。
  • 脱着式リコイルホースは使わないときは外しておいてください。使われていないホースには水が滞留し細菌が住み着きます。

ラック・マニホールドのフラッシングに関するアンケート調査

当社は動物実験施設のアンケート調査を行い、ケージラックの洗浄および給水マニホールドのフラッシングについて質問を行いました。(注:この調査対照の施設では、自動オンライン・マニホールド・フラッシング装置はありませんでした。)

ラックはどのような頻度で洗浄しますか?
最低月1回 35%
2-3カ月ごと 22%
4-6カ月ごと 10%
年1回 13%
随時 10%
記入なし 10%

ラックの洗浄と洗浄の間に給水マニホールドのフラッシングを行っていますか?
No 37%
Yes-毎日 33%
Yes-2-3回/週 7%
Yes-毎週 20%
Yes-2週ごと 3%

ラックの洗浄と洗浄の間に給水マニホールドをフラッシングまたは消毒しますか?
No 13%
Yes(真水) 27%
Yes(塩素添加水) 56%
Yes-毎週 20%
記入なし 4%


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