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自動給水装置の消毒
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はじめに

水に塩素のような殺菌剤が間断なく入っていないと、自動給水装置の水に接するパイプ表面にバイオフィルムが発育し、実験動物の飲水中に非常に多くの細菌が存在するようになります。規則的なフラッシングによって。自動給水装置内における細菌の蓄積を減らすことができますが、フラッシングだけではバイオフィルムを完全に無くすことはできません。化学殺菌剤による定期的消毒がバイオフィルムを除去し破壊するために必要です。

このパンフレットは自動給水装置に用いられる一般的消毒剤に関する情報を提供しとくに自動給水装置の消毒方法を説明しています。

消毒についてまだおわかりにならないことがあれば、エデストロム・ジャパン 電話 03-3588-8551 までお問い合わせください。

消毒の定義
消毒とは絶対的な現象ではありません。消毒とは微生物の一部を除去することです。装置によっては、消毒操作によって微生物の数を約 90% 減らさなければなりません。水の場合には、消毒は細菌の数を3対数(log)すなわち 1000 倍減らすことであると定義されることが多い。

連続処理か定期的消毒か?

飲水装置の中の細菌発育をコントロールするには2つの基本的アプローチがあります。1つは、装置内の殺菌剤の残留濃度を一定に維持することです(連続薬注)。これは市営水道処理施設が用いているテクニックであり、市の配水システムの至る所に残留塩素を供給するために十分な塩素を注入します。研究施設の中には、細菌数をコントロールするために実験動物の飲水に連続的に塩素を添加したり飲水を酸性化しているところがあります。連続処理についてもっと情報をお求めでしたら、飲料水の塩素添加あるいは飲料水の酸性化のページをご覧ください。

第2のアプローチは、定期的に消毒することです。なんらかの理由により研究プロトコールが連続的塩素添加の使用を禁じている場合には、定期的消毒が必要となります。

連続薬注を用いている多くの装置でも定期的な、頻繁ではないけれども、消毒計画が必要です。たとえば、酸性化した水を用いている装置では、自動給水装置内の酸耐性微生物を殺すために塩素消毒を定期的に行う必要があります。

消毒に用いられる化学薬品

化学殺菌剤は大きく2つのグループすなわち酸化性のものと非酸化性のものに分けられます。酸化性殺菌剤には塩素、二酸化塩素、そしてオゾンがあります。非酸化性殺菌剤には第4級アンモニウム塩、フォルムアルデヒド、陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤があります。

表1.一般的殺菌剤とよく使われる用量

殺菌剤 濃度 接触時間 自動給水装置への応用
塩素 10-200 ppm (WQA) 50-100 ppm (Mittelman) 5-10 ppm (Gelman Sciences) 1 分 @ 50 ppm (WQA) 1-2 分 (Mittelman) 60 分 (Gelman) 一般的用法は 20 ppm & 30-60 分の接触時間。腐蝕性があるので 50 ppm または2時間以上の接触を行わない。
オゾン 4 ppm (WQA) 1-2 ppm (Mittelman) 0.5 -1.0 ppm (Riedewald) 1分 (WQA) <1 分 (Mittelman) 等しい濃度では塩素よりも強力な殺菌剤である。一般的には使われない。現場で発生させる
二酸化塩素 50-100 ppm (Mittelman) 1-2 分 (Mittelman) 塩素に似た殺菌活性。不安定であるので現場で混交する。塩素のように腐蝕性がある。塩素よりも費用がかかる。
過酢酸 1% wt/wt (WQA) 30 分 (WQA)  
過酸化水素 30,000 ppm (WQA) 10% (v/v) (Mittelman) 180 分 (WQA) 2-3 時間 (Mittelman) 使われない。塩素よりも高価で効力が劣る。
第4級アンモニウム塩 300-1,000 ppm (Mittelman) 2-3 時間 (Mittelman) 給水装置には一般的に使われていない。泡を除去するのに徹底的なフラッシングを必要。
フォルムアルデヒド 1-2% (v/v) (Mittelman) 2-3 時間 (Mittelman) 使われない。発癌性あり。

塩素

最も一般的な消毒剤は塩素です。塩素は最も安く、最も入手しやすく、そして効果的で使いやすい消毒剤です。オゾンと二酸化塩素も効果的な殺菌剤ですが、自動給水装置の消毒にこれらの化学薬品を用いた経験があまりありません。

このパンフレットは主に塩素消毒を扱っています。他の消毒剤についてはバイオフィルムのページをご覧ください。化学消毒剤は腐蝕性がありますので他の化学薬品の適正な濃度と消毒方法についてはエデストロム・ジャパン 電話 03-3588-8551 までお問い合わせください。

消毒剤の有効性は濃度と接触時間の両方によって決まります。自動給水装置の消毒は一般的に 20-ppm の塩素を用いて 30-60 分で行われます。濃度を高くして浸漬時間を長くすれば有効性は増します。しかし、 50 ppm 以上の塩素濃度の消毒液を用いてはいけません。高濃度で反復消毒をすると自動給水装置内のステンレス製の水に接する部品に腐食を起こすおそれがあります。

消毒

熱湯消毒
熱湯は 70。C に保てば装置を消毒するために用いることができます。しかし、動物と職員の安全に備えながらこの温度の熱湯を扱う実際面から見ると(構造素材、用いるエネルギーなど)自動給水装置全体をよく考えてこの方法は一般的に用いられません。この方法はラックワッシャー内で熱で消毒できるラック・マニフォールドなどの部品に応用することができます。

消毒回数
消毒によって自動給水装置内の細菌を 100% 殺すことができないので、残った細菌は装置内で再発育します。このことは自動給水装置内の構成部分は定期的に消毒する必要のあることを意味します。月1回の消毒が一般的ですが、特定の装置の消毒回数はそのデザイン、フラッシングとフィルター交換の両方の頻度、供給水の水質、そして維持したいと思っている細菌数によって変わってきます。消毒回数を決めるためには、サンプルを採集し生菌数をモニターする規則的なスケジュールを決めます。測定した細菌数に基づいて消毒回数を増やしたり減らしたりします。

出来たバイオフィルムを破壊するためには、(たとえば、一定期間運転されていて消毒したことがない)通常、反復消毒サイクルが必要です。最初の塩素暴露はバイオフィルムのトップ層を殺すだけです。塩素はバイオフィルムをお互いに付着させそしてパイプ壁に付着させる“接着剤”の働きをしているグリコカリックスすなわちスライムも破壊します。これによってバイオフィルムの構造が弱くなります。このため、塩素暴露の後に高流速によるフラッシングを行うことはよいアイデアです。つづいて新鮮な塩素をパイプに再注入して次の細菌層を殺します。この塩素消毒/フラッシングのサイクルは蓄積したバイオフィルムが除去されるまで連日数回反復する必要があります。十分に出来上がったバイオフィルムでは3-10 サイクルが必要です(WQA, 1998)。

自動給水装置の消毒
自動給水装置のすべての構成部分はいろいろな間隔で消毒しなければなりません。以下の手順が純水装置から実験動物飲水バルブまで装置の構成部分の順でリストされています。

逆浸透 (RO) 装置

RO 水の貯蔵タンク

減圧装置と室内配管

リコイル・ホース

ラック・マニフォールドと飲水バルブ

RO 装置

連続塩素添加-酢酸セルロース膜を使用している逆浸透 (RO) 装置には、 RO 装置内における細菌の発育を防ぐために連続塩素前処理が用いられます。塩素の注入量は供給水では 0.5 - 2.0 ppm の遊離塩素を供給し、RO 透過水では最低 0.3 ppm の遊離塩素を供給するように調節します。透過水中におけるこのように低い塩素濃度は貯蔵タンク内および室内配管系における下流内において細菌の発育をコントロールするのにも役に立ちます。

Clean-in-Place サイクル-汚染物が膜表面に貯まり流速を遅くし RO 透過水の水質を悪くするので RO 装置の規則的なクリーニングが必要です。Edstrom Industries の RO 装置では、1ヶ月に1回、自動的にクリーニングが行われます。pH の低いクリーナーが沈殿した塩と金属を除去するために用いられ、アルカリ性あるいは中性のクリーナーが水垢、沈泥および有機質の汚れを除去するのに用いられます。

RO 膜は微生物によっても汚れます。生物付着を少なくするために、RO 装置を連続運転するか、1日にできるだけ多くの時間運転できれば停滞時間が短くなるのでベストです。微生物クリーナーが必要なら、膜のメーカーの推奨にしたがってください。

貯蔵タンク

Edstrom Industries の純水装置では、貯蔵タンク中の水には常に残留塩素が含まれており細菌の再発育を防いでいます。貯蔵タンクの消毒が必要な場合には(水質検査に基づいてあるいは予防的メンテナンスとして1年に1回)、RO 装置のマニュアルをご参照ください。消毒回数は一般的に年2回または1回です。

室内配管

自動給水装置には消毒液を注入できる注入ポートがなければなりません。これは一般的に各減圧装置への入り口にあります。Edstrom Industries の Portable Sanitizer は化学消毒液を注入するように設計されています。通常、実験動物のラックは消毒中に室内配管から外されます。消毒回数は一般的に1ー2カ月に1回です。

リコイル・ホース

リコイル・ホースは Edstrom Industries の Chlorine Injector Station および Recoil Hose Flush Station を用いてケージ洗浄エリアで塩素消毒することができます。消毒回数は一般的に1-2 週に1回です。

マニフォールド

移動式ラックのマニフォールド配管は Edstrom Industries の Chlori-Flush Station を用いてケージ洗浄エリアで洗浄サイクルの後で塩素消毒することができます。消毒回数は一般的に 1-2 週に1回です(ラックの洗浄回数と同じ)。

参考文献

Gelman Sciences. 1987, "Sanitizing Your Water System", Microfiltration News Vol. 7, No.1. Fall 1987.

Henley, M. September 1992. "Sanitization or Sterilization? It depends on the Final Use for the High-purity Water." Ultrapure Water. Tall Oaks Publishing, Inc. Littleton, CO. pp. 15-21.

Meltzer, T.H. 1993. High Purity Water Preparation for the Semiconductor, Pharmaceutical, and Power Industries. Tall Oaks Publishing, Inc. Littleton, CO. pp. 57-59.

Mittelman, M.W. "Biological Fouling of Purified-Water Systems: Part 3, Treatment", Microcontamination 4(1). pp. 30-40, 70 (January 1986).

Morton, H.E. 1983. Pseudomonas. In: Disinfection, Sterilization and Preservation, 3rd Ed. (Block, S.S., ed.), pp. 401-413, Lea & Febiger, Philadelphia, PA.

Riedewald, F. "Biofilms in Pharmaceutical Waters", Pharmaceutical Engineering, 17(6), pp. 8-19 (November/ December 1997).

Water Quality Association (WQA), Guidelines for Disinfection and Sanitization of Water Treatment Equipment. Water Quality Association, Lisle, IL. March 1998.


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